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973中国通俗小説の巨匠・張恨水(その8)――啼笑因縁(下)

*啼笑因縁《作品内容紹介》

Photo_16 啼笑因縁は、1930年3月17日から11月30日まで、上海《新聞報》副刊“快活林”に連載された。 全22回、約24万字。

物語の舞台は北京。 多くの人が集まる盛り場・天橋から話は始まる。

主人公の樊家樹は、杭州から北京へ大学受験のためやってきた。 ある日、たまたま天橋に出て、沈鳳喜にめぐり会う。 沈鳳喜は、その天橋で叔父の沈Photo_17 三玄の三弦に合わせ、“拍板”《拍子をとる板》と“鼓棍”《バチ》で大太鼓を打ちながら歌う娘だった。 屋外の舞台なので、切符などなく、歌い終わったら観客のわずかな心付けを貰うのだった。 樊家樹は初めてなので、一元銀貨を渡す。 そのPhoto_18 後、何度か聞きに行って、その度にそうしていた。 そのため、沈鳳喜と彼女の一家の注意を引いていた。 そうして、二人は知り合った。

樊家樹は、他に二人の女友達がいた。 一人は、いPhoto_19 とこの陶伯和が紹介した何麗娜、財政総長の令嬢、顔は沈鳳喜と瓜二つ。 彼女は樊家樹を気に入っていた。 しかし樊家樹は、彼女が派手すぎるので、つかず離れずの態度を取っていた。 もう一人は、老拳士・関寿峰の娘、関秀姑。

樊家樹が、やはり天橋で武芸を演じていた関寿峰父Photo_20 娘と知り合ったのだ。ある時、関寿峰は貧乏と病気が重なり、命も危ない時、樊家樹は費用を負担してこの老人を助けた。 関寿峰はとても感激し、関秀姑は樊家樹に淡い幻想を抱くようになった。 樊家樹の三字を聞くと顔が赤くなるほどだった。 だがPhoto_21 彼女は、さすが侠女(女伊達)、沈鳳喜と樊家樹の関係を知ると、嫉妬などしないばかりか、二人のことを応援するのだった。

沈鳳喜は樊家樹の援助により、引越しもしたし、歌もやめた。 そして、女学生になった。 沈鳳喜の母親・沈大娘も樊家樹を娘の婿と見ていた。 ただ、叔父の沈三玄は、もともと姪の身体で一儲け企んでいたので、こうなってくると、ちょっと面白くPhoto_22 ない。

丁度この頃、樊家樹は杭州の母親が病気との電報を受け取る。 南へ帰らなければならなくなった。 やむなく沈家の面倒を関寿峰に頼み、気持が落ち着かないまま、汽車に乗る。 故郷へ戻っている三月の間に、沈鳳喜の運命に激烈な変化が起こっていた。 彼女は軍閥の劉樹徳将軍に見初められ、力ずくで妾にさせられていた。 樊家樹が帰ってきた時Photo_23 には、将軍の屋敷の奥深くに閉じ込められていた。 これより前、関寿峰が二人の弟子と、屋敷に忍び込み沈鳳喜を救出しようとしたが、劉将軍のお金の誘惑を突っぱねられず、気持がぐらついているのを見て、不愉快になって引っ返した。 その後、関秀姑は樊家樹が苦しみ悩んだ末、病気になってしまったので、自ら進んで劉家の女中になり、沈鳳喜に情報を伝え、樊家樹と会う段取りをつけた。

Photo_24 その日早朝、沈鳳喜は劉将軍にウソをついて、先農壇へ樊家樹に会いに行った。 彼女は四千元の小切手一枚取り出し、自分は今、自分のことを一存で決められない。 このお金は、樊家樹の以前の恩に報いるものだと説明した。 樊家樹は、その小切手を手に怒りに震えた。 そして小切手をビリビリと引き裂き、粉々にちぎった。 激しい怒りのまま、その場から立ち去る。 沈鳳喜が、つらい思いのまPhoto_25 ま劉家に戻ると、意外にも将軍は彼女の行動をすべて知っており、鞭で体中打たれ、全身傷だらけとなる。 あまりのショックに、頭がおかしくなってしまう。 関秀姑は、その場の状況を目撃し、義憤に燃えた。 丁度その時、劉将軍は関秀姑にも手を出Photo_26 してきた。 そこで承知したふりを装い、西山碧雲寺へ誘い、一刀のもと斬り殺した。 そして、父親とある村に隠れ住んだ。 村の中に別荘があり、その別荘には令嬢が住んでいた。 精進料理に、念仏三昧、交際も断っていたが、関秀姑と友達になっPhoto_27 た。 その令嬢は誰? 何麗娜だった。 彼女は、樊家樹が彼女の派手さを嫌っていることを知り、自分を変えようと決意し、わざわざここに閉じこもり精神集中に努めていた。 何麗娜のこの考えは、ムダではなかった。 関寿峰父女の働きで、樊家樹がPhoto_28 彼女のそばに連れられてきた。 物語はここで終わる。

三年後、作者は又、続編を書いた。 10回のみ。 書中の主役の何人かについて説明すると、沈鳳喜は気が違ったままよくならず、心臓にも影響してきて、樊家樹と最後に会うが、その後すぐ死んでしまう。 関寿峰父女は関外(満州)へ行き、義勇軍に入り、激戦の末戦死。 樊家樹と何麗娜は、ついに結婚する。

《参考》

20  中国通俗小説の巨匠張恨水  (その1):

21 中国通俗小説の巨匠・張恨水 (その2): 

26 中国通俗小説の巨匠・張恨水 (その3: 

969  中国通俗小説の巨匠・張恨水 (その4: April 15

 970  中国通俗小説の巨匠・張恨水 (その5: April 16《春明外史》

 971  中国通俗小説の巨匠・張恨水 (その6: April 17《金粉世家》

 972  中国通俗小説の巨匠・張恨水 (その7: April 18《啼笑因縁》(上)

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