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818中国は見る(452)世界中が中国を汚している(上)

日本教授:全世界在染中国

001 日本の月刊《ボイス:Voice》11月号が、“世界中が中国を汚している”という記事を載せている。 執筆者は京都造形芸術大学の竹村真一教授である。 記事は、中国の環境問題はある意味で、世界の縮図であり、中国という鏡に映っているのは、グローバル経済の自画像である、と指摘している。 そして、単純に中国に責任を押し付けるだけでは問題の解決にならない。 簡単に「中国が悪い」と断定するだけでは、将来もっと大きなツケを地球全体が支払うことになるだろうと書いている。 記事の概要は次のとおり:

環境負荷が集中するのは必然

004 2008年、北京オリンピックを前に、中国について、環境汚染や食の安全、水不足など、さまざま問題が指摘されている。 これらの論調は皆、中国に責任を押し付ける「中国悪者論」に終始しているが、本来、「地球全体の問題」として捉える必要があるのではないだろうか。

「中国問題」が「地球問題」であるという視点は、以下のいくつかの面から説明できる。

第一は、言うまでもなく、「越境汚染」問題である。 汚染されたり、毒を含んだ食品が世界各地に輸出されている。 最近、日本では光化学スモッグ注意報がしばしば発せらるのも、中国の大気汚染物質の増加と無関係ではないだろう。 中国の汚染物質は隣国日本だけでなく、偏西風に乗ってアメリカまで運ばれている。 これから見ても、中国問題がグローバルな問題となりつつあるのは自明である。

だが、これらの問題は、中国が「世界の工場」として、世界の産業を一手に引き受けているからこそ生じている面があることを忘れてはならない。 生産基地が中国に集中しているということは、環境負荷もまた、中国に集中することを意味する。 逆に言えば、世界中の環境負荷を中国は引き受けているわけで、環境規制が緩いからこそ、中国で生産を行っているという面では、日本企業も例外ではないだろう。 

中国の環境問題はある意味で、世界の縮図であり、中国という鏡に映っているのは、グローバル経済の自画像なのだ。 となると、単純に中国を責めるだけで問題を終わらせることはできない。 「中国が悪い」と断定するだけでは、将来、もっと大きなツケを地球全体が支払うことになるだろう。

次は、「資源問題」である。 20世紀末まで十数億の民の食料をほぼ自給していた中国も、21世紀に入って一割ほど穀物などを輸入しはじめた。 一割といっても、中国の一割は、そのまま日本の総人口に当たる。 当然、世界の穀物市場や食料需給に大きな影響を与えるだけでなく、地球全体の環境ストレスを高めることにもなる。

将来の状況は 更に深刻化

いま起きている事態は、まだ序の口で、これから問題は更に深刻化していくだろう。 その理由もまた、三つの側面から説明できる。

第一は、よく言われるように、中国の生活水準が上昇し、都市人口が増加するなか、環境負荷とともにさまざまな不均衡が増大していることである。 クルマは一日1000台のペースで増え、電力事情もパンク寸前。 中国の一人当たりのエネルギー消費が日本並みになった場合、中国のエネルギー消費は、現在のアメリカのエネルギー消費量の二倍ぐらいになると予想される。 これほどのエネルギー需要を賄える資源は、地球のどこを探してもない。

また、都市と農村・地方との不均衡、階層間の格差も大きな軋轢だろう。 中国では、「大都市優先」ということで、水問題にしても周囲にどんどん負荷をかけている。 そうした趨勢は、今後、国内の「環境難民」を大量に生み、それが北京や上海に集中して都市の負荷を強めるにとどまらず、世界に広がっていく可能性もある。 

第二の側面は、気候変動や異常気象の増加に伴う災害や水不足の深刻化だ。 ヒマラヤやチベットの氷河が大変な勢いで減少しているが、それらの氷河は、黄河や揚子江、メコン川、ガンジス川、インダス川など、アジアのほとんどの大河の源流であり、いまの勢いで減少が続けば、十年以内にアジア全域で深刻な水問題が生じるといわれている。

世界人口66億人のうち、中国やインド、東南アジアだけでも30億人近くに達し、それを養う農業生産はほとんどチベット・ヒマラヤの水源に依存している。 標高50006000メートルの地に氷河があるというのは、巨大な“水の銀行”があるようなものだ。 この“水の銀行”に支えられた豊かな水があってこそ、稲作農業が可能になり、世界でも例外的に高い人口扶養力が担保されてきたのである。 氷解によって、それが大変な勢いで失われていく。

そして第三に、石油の高騰によってもたらされるグローバル経済の終焉という要因も考慮すべきだろう。 現在の石油価格の高騰については、需要増を見込んでの人為的な操作という側面が強いが、それもここ数年の話にすぎない。 十年スパンで見ると、明らかに石油を汲み上げるコストが高まっている。 たとえ枯渇はしなくても、深いところまで掘削せざるをえなくなると、いずれコスト割れすることは確実で、その結果、廃棄される油田も出てくるだろう。 枯渇より何十年も早く、石油を使うこと自体が経済として成り立たなくなると予想される。

「国内で足りなくなった食料やエネルギーを世界から買い漁る」という現在のやり方は、石油が安いからこそ成立している砂上の楼閣にすぎない。 グローバル経済の枠組みで、“自国にないものは、遠くから運んでくればいい”という20世紀のやり方そのものが、そろそろ通用しなくなってきているのだ。

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