466中国の三面記事を読む(119) 日本版映画「西遊記」について中国の見方
①孫悟空は神経質 三蔵は女優が演ずる日本版《西遊記》に不満の声
②日本版《西遊記》中国で撮影 民族の財産の作品を汚されると論議を呼ぶ
①孫悟空は神経質 三蔵は女優が演ずる日本版《西遊記》に不満の声
孙悟空神经质唐僧女星演日版《西游记》引不满
2006-11-17 11:08 上海青年报 http://ent.tom.com
日本版映画《西遊記:金角銀角との決戦》は、すでに撮影を許可され寧夏(寧夏回族自治区)で撮影が始まっている。 同映画は、出来損ないのテレビドラマの続きで、孫悟空は神経質なスーパーマン、三蔵法師は女優が扮し、猪八戒は大きな帽子を被っている。 中国国内の「西遊記」ファンから不満の声が沢山寄せられている。
映画の中国側協力者:上海電影集団は、“我々は、ただ技術の提供をしているだけ。 映画の内容は中国映画当局の審査を通っています” ネット上の“日本版《西遊記》が中国古典文化をメチャクチャにしている”との批判について、上海電影集団製作協力部は記者に対し、こう説明した。 “私達が見たのは脚本だけだが、映画の内容には特に変ったところはないと思う。 みんなが受け入れられないのは、三蔵法師を女性が演ずることだと思う。 でも日本で《西遊記》を撮る場合、昔から女性が演じているんです。 孫悟空の性格については、外見上は大して変わりはありません。 ただ猪八戒が大きな帽子を被っているのが、私達のイメージとはまったく違っているだけだ。
中国で撮影されているこの《西遊記:金角銀角との決戦》のストーリーはいたって簡単なものだ。 原作のいくつもの出来事の中の一つだ。
内容は三蔵一行四人が旅を続けて、平頂山付近のとある国へ着いた時、その土地の老人が金角銀角に苦しめられていたり、国中も大騒ぎ、王女様が逃げ惑っているところ三蔵一行に出会い、彼等四人が王女様を助け
て妖怪の金角銀角をやっつける話だ。
上海電影側は、“ストーリーには何も問題はない。 中国の映画部門《広電総局》の審査を通っています。 でなければ日本側が中国で撮影できるわけがありません” 上海電影汪天雲副総裁は、記者の取材に対し、“日本版《西遊記》には確かに「悪ふざけ」の部分があります。 確かに私達が普通に考えるのと違っています。 日本のものは、どちらかというと、ちょっと色っぽく、ちょっと自由すぎ、役柄も本来の役を変えたり、ファッショナブルな面が多いです。 日本の文化との違いが関係していると思います。 日本はこの古典の題材に現代的息吹きを入れるよう考えています。 でないと若い人達を惹きつけられませんから。
今回の日本版《西遊記》は、日本の視聴率第一位を取ったテレビドラマのメンバー全員が撮影に参加しています。 孫悟空はSMAPの香取慎吾が演じ、女優の深津絵里が三蔵に扮し、その他の役に中国人が出演しています。 テレビドラマの視聴率は高かったものの、作品の人物イメージを歪曲しているとする批判の声も随分上がっていました”
聞くところによると、中国に大挙して撮影に来たのは、日本版《西遊記》のバックの景色を、よりリアルに見せたいためのようだ。 現在、寧夏で独特の西域の風景を撮影している。 来年1月には、横店(浙江)にも移動し、主に西域の小さな国の宮殿場面を撮るという。 中国は、日本版《西遊記》のロケに協力するだけで、同映画が中国で上映されるかどうかはわからない。
【関連記事】
《西遊記》 日本ではテレビドラマに四回登場
20世紀初頭から日本では《西遊記》を基にした作品が数多くあり、いろいろな形の《西遊記》題材作品は百種類にも上るという。 日本のテレビ局は、1978年、1993年、1994年と3回、連続ドラマ形式で《西遊記》をブラウン管に登場させている。 今回のフジの新版《西遊記》
は四回目の登場だった。 新版《西遊記》ドラマの顔ぶれは強力陣である。 シナリオは《東京ラブストーリー》で有名な坂元祐二、悟空役にはSMAPのメンバーの香取慎吾、共演者には木村拓也等が出ている。
【参考記事】
②日本版《西遊記》中国で撮影 民族の財産の作品を汚されると論議を呼ぶ
日版西游记来华拍摄引争议被恶搞民族经典
2006年11月17日 01:02 央视国际www.cctv.com 来源:信息时报
日本版《西遊記》 寧夏で撮影
日本の映画会社は中国の映画部門(国家広電総局)の許可を受け、撮影隊は我国で撮影を始めた。 寧夏、横店、湖南、甘粛、安徽、広西、内モンゴルなどで撮影予定。 目下、寧夏に到着。
名作をやたらに改竄 非難ごうごう
今回の日本映画《西遊記》の中国での撮影のニュースを聞いて、中国のネット上には、数々の非難の声が上がっている。 主な理由は映画がテレビ版と同じメンバーで、内容が原作から逸脱し、人物のイメージを台無しにしているということだ。 今年のカンヌ映画祭でメンバーが出向いて宣伝をした。 孫悟空に扮した香取慎吾が、砂浜で悟空役を演じていた。 当時、このニュースが伝わった時、孫悟空がミニスカートをはき、神経質なスーパーマンになっていることについて、中国のネット上では不満の声が満ち溢れた。
大旗ネット:“日本が中国で、西遊記の映画を撮ることに賛成するか?”
という調査について、反対票を投じた人が82%あったという。 理由は、《西遊記》は、中国民族の精華である。 悪ふざけをすることは許せない”
天涯ネット《丹珠雅社》:“日本版《西遊記》は、原作を踏みにじり、一部内容は中国人の感情を逆なでにしている。 たとえば孫悟空がミニスカートをはいていることや神経質なスーパーマンにされていることなどだ”
博主bacon8474:“中国人は《西遊記》をただ悪ふざけする程度ならまだしも、誰もが許せないのは三蔵を女にすることだ。 日本は中国の古典作品をメチャクチャにし、その上、フランスの映画祭にまで顔を出し、ぶざまな《西遊記》を世界にさらした。 中国の映画監督局《広電総局》は、どうしてそんな奴らにOKを出すんだ?”
文化遺産を“文化遺恨”としてはいけない
ネットでいう“名作を台無しにし、国の品格を落とす”などという考え方について、天涯博主魏英傑氏はこう語る。 《西遊記》は中国古典の名作である。 他国が《文化財産権》を侵害するようなことがあってはいけない。 古典の名作については、それが代表する文化的基調は、その国の文化伝統と一致性が見られる。 しかし具体的解釈については、いかなる人、いかなる民族であろうと、違った理解と表現をすることが出来る。 特にグローバル化した今日に於いては、全世界的に溶け込んでこそ民族と国家の文化競争を維持し、活力を発揮できる。 だがグローバル化するに当たって、中国の文化遺産をどういう風に保護したらいいか考えることが必要ではないだろうか?
専門家が言うには、国外との文化交流が拡大するにつれ、中国を題材としたものが、続々と国外の映画やテレビに登場している。 それに伴い、こうした勝手な改竄行為が、ますます増える傾向にある。 《西遊記》を含めた中国四大古典名著は、中華民族の優秀な文化歴史遺産であり、我々の貴重な財産である。 今、内容を粗製濫造されているばかりか、《西遊記》はひどいのになると、国外ではゲームの商標にまでなっている。 従って、有識者達は、“中国は速やかに名著の保護を立法化し、中国の文化遺産を「文化遺恨」としないよう”呼びかけている。
【参考】①449中国の三面記事を読む(117)アメリカ版「西遊記」決定06-11-13②380中国の三面記事を読む(85)「西遊記」テレビ版もリメーク決定06-09-08③347中国の三面記事を読む(72)ハリウッド版「西遊記」いよいよスタート06-08-07④中国の三面記事を読む(42)ハリウッドいよいよ「西遊記」を映画化か?(下)06-06-10⑤中国の三面記事を読む(41)ハリウッドいよいよ「西遊記」を映画化か?(上)06-06-09⑥184孫悟空ハリウッドへ飛ぶ(06-02-22)⑦154中国は見る(65)日本版“西遊記”中国での評判(06-01-23)⑧144中国は見る(57)日本版“西遊記”好調なスタート(06-01-13)
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