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429 中国の三面記事を読む(103)  秦の始皇帝陵を発掘せよ! (下)

張五常 秦始皇帝陵発掘の提案 激しい論議を呼ぶ

 

2006-10-20 04:01:00 张五常建议打开秦始皇陵引发激烈争辩

来源:郑州晚报 网友评论3156条进入“秦始皇陵论坛

 

Photo_250 論争は直ちに二大陣営に分かれた。 支持者は、今確かに発掘すべきだ。

始皇帝陵には神秘が詰まっている。 発掘すればきっPhoto_251 と世界を驚かすことになる。 

 

記者は、この問題について鄭州の市民に取材した。 肖良志さんは始皇帝陵の発掘を支持した。 “始皇帝陵はいつかは発掘する日がくるんです。 今、発掘するとあるいは保存技術が追いつかず、中の文化財をダPhoto_252 メにしてしまうかもしれない。 でも数百年後発掘した時には、風雨にさらされたり、盗掘されたりといった危険にあって、中の文化財がもっと悪くなってしまうだろう”

 

Photo_253 しかし、始皇帝陵発掘に反対の人も大勢いる。 清香欣苑というネットの人は、“始皇帝陵は祖先が残してくれたものだ。 私達の時代だけでなく、子々孫々のためにも。 私たちが陵墓を発掘して金儲けしたら、私達の子孫は食うものがなくなってしまう”

 

Photo_254 鄭州の王さんは陝西の臨潼の生まれだ。 彼は始皇帝陵の発掘については絶対反対だという。 “始皇帝陵を見に来る人が絶えないのは、ほとんどがその神秘性に魅かれてだ。 もし近い将来それが発掘され開けられたら、一時は世界を驚かすことは間違いない。 でも現代の人は「一過性症候群」のようなもので、見学する人は大幅に減少するに決まってる。 今、中国の考古学技術は充分でない。 発掘された文化財の保存に、絶対間違いないなんて言えるもんですか? 我々現代人が、もし客観的な判断なしに、一時の衝動と快感を求めて始皇帝陵墓を発掘しようとするなら、後世の人は、私達を聡明さに欠けているというだけでなく、目先の利に釣られ将来に災いを残した愚挙と言うに違いない。 また現在の始皇帝陵の安全性の角度から見ても、安全予防措置などは安心できるもので、国宝を盗掘される心配はない

 

始皇帝陵発掘の最大の「鍵」は技術

 

Photo_249 張五常は、彼の文章に対する批評を読んだ後、“私の始皇帝陵発掘の提案に反対する理由の主なものは二つで、先祖の墓をあばくべきでないということ、もう一つは、現在の科学技術はまだ不十分で、酸素による侵食を抑えることができないということだ”と結論付けた。 張五常は、“文化財の酸素による侵食のため、始皇帝陵を発掘してはいけないということは、文化財保護からうなづける” しかし彼は、“文化財を20年研究してわかったことは、うわぐすりをつけて焼いた陶器の色は、光に当たったり、空気に触れると変色してしまう。 しかし適切に保護すれば長持ちできる”

 

張五常が提案した「秦の始皇帝陵を発掘せよ」の文章は、考古学会にも激震を引き起こした。 考古学会の関係者は、“秦の始皇帝陵をいつ発掘するか? 発掘すべきかどうか? は経済学者が言うべきではない。

いずれにしろ考古のことは専門性の強い業種であり、考古の発掘作業は非常に複雑な工程があるから、考古学者が真剣にその実態把握を掴んだ上で確実に行うべきである

 

河南省文物考古研究所李占揚研究員の話では、彼が得た情報によれば、考古学会は今、始皇帝陵を発掘することには反対の態度である。 なぜかというと発掘しても技術的な面から、発掘した文化財を保護できるか保証できないためだ。 特に壁画、陶器、紙・絹の品質などの文化財の保護は現在でも難問だからだ。 また始皇帝陵発掘は我国の“保護を基本とする”考古政策とも合致しない。

 

“今は、どの国だって昔の皇帝の墓を発掘しようとするところはない”

復旦大学文物・博物館学部の陳淳教授はこう述べている。 技術的障害のため、文化財の発掘が破壊に繋がってしまうことがしょっちゅうある。

秦の始皇帝の兵馬俑の発掘が始まった時、表面の鮮やかだった陶彩が、今はもうくすんでしまい、ひどいのになると黒く変色してしまっている。

また、長沙の馬王堆漢墓の発掘でも、みずみずしかった千年の桃が、見る間に水となってしまったことがあった。 だから“できるだけ積極的には発掘しない”という考え方が、20世紀中後期の国際的な共通認識となっている。

 

始皇帝陵を発掘すべきかどうかの討論は必要ない

 

“我々には、今、始皇帝陵やその他の帝王の発掘問題については討論する資格はない。 なぜなら今、現有する文化財遺跡の保存すら満足にできてないし、ほかに沢山やらねばならないことがあるからだ。 帝王の陵墓についてもうちょっと詳しく述べると、文化財が観光客を呼びその土地の経済発展に役立つという見方は幻想であって、言わばニワトリを殺して卵をとるといったやり方である(目先の利益に目がくらんで将来を忘れること)。

 

陝西省考古研究所研究員・秦陵考古隊段清波氏はこう言う。 始皇帝陵をいつ発掘するかどうかといったことは問題にならない問題である。 現在の環境の中で、いつ始皇帝陵を発掘できるか、根拠とすべきものは何もないのだ。 段清波氏は、「鄭州晩報」の取材に対しこう述べた。

“伝説時代の三皇五帝から清朝最後の皇帝溥儀に至るまで、我国歴史上有名な帝王だけでも490人ほどいるが、この中には春秋戦国時代の諸国の王侯の墓や地方の割拠豪族、封建貴族、反乱者、太后(皇帝の母)執政、農民一揆から帝位に就いたものなどは入っていない。 これらそれぞれの時代の中で最高位にいた人達の墓は、当然にその当時の文化発展の集大成となっている。 しかし、だからといってみんな発掘するわけにはいかない。 

 

これとは別に、帝王の墓の中には、私達が想像するように一杯品物が詰まっているわけではない。 もし発掘したとしても、私達を失望させるだけだろう。 考古学をやった人達は、ほとんどこういった経験をしている。 また、考古の発掘では歴代の盗掘により盗まれた墓にも出会っており、この業界には、“十墓九空”(十の墓を掘っても九つは空っぽ)という言い方さえあるという。 更に盗まれたことがないと思った大型の墓を掘った時も、最後にはその中の一部の墓の中が空っぽだったということもあった。 中の文化財がすっかり盗まれていたのだ

 

段清波氏は言う、“現在の技術からいうと我国には、まだ始皇帝陵を発掘する必要な条件が整っていない。 というのは、この陵墓の中の文物と周囲の環境のバランスがとれているのに、もし発掘すると、このバランスが崩れることになる。 発掘に当たっての環境変化と文化遺跡の調和をどう解決するか、出土された文化財の現場保護と永久保存の方法をどうするか、現在、まだ難問として残っている。

 

段清波氏は更に、ほかにも予測できないものがある。 実験室内で実験した方法・技術と実際に活用した時どうなるか、文化財保護の実際が成功するかどうかの不確実性。 現実問題として文化財保護の考え方を適切に実施できるだろうか。 これらの仕事に従事する人達が、続出する文化財保護の難問解決にあたれるかどうか。 長期の資金投入を国などから保証を得られるかどうか。 予測できないものが沢山ある。 

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