372 中国は見る(188) 東京ブラリ旅② 東京タワー見学
我的日本行东京铁塔
東京には大きな目印がある。 東京タワーだ。
その日は、退社と同時に急いで地下鉄に乗って東京タワーに向かった。 日本の秋は、午後5時ともなるともう暗くなる。 私は芝公園の駅を出ると上を見上げた。 ライトが灯っているタワーの尖端が見えた。 胸がドキドキと高鳴った。
東京タワーは見上げると見えるので、探すのに苦労はしない。 暗闇の中に明るく立っており、目印になる。 道がどうなっていようと、安心してそこに向かって行けばいい。 でもおかしなことに、すぐ目の前に見えながら、いくら歩いてもなかなか近付けない。 空はすっかり暗くなってしまった。 右に左にとまったく骨が折れる。 回り道をしながら、やっとのことでタワーの正門に到着した。 そこで東京タワーの全貌を目にすることが出来た。 日本へ来る前、旅なんてしたことはなく、正に“井の中の蛙”だ。 今、この全身オレンジ色に彩られた大きな塔を見て、ただ唖然として声もなく見つめた。 そのポカンとした様は、昔、田舎の人が町へ来て驚いているのと変わりがない。
東京タワーの見学時間は決まっていて、夏と秋の終了時間は夜の8時迄で、冬と春は7時で終わりとなる。 日本はたいていのところが7時か8時で閉店になる。 だから退社の時間から観光スポットに行くとなると、避難でもするように分秒を争う騒ぎになる。 あげくご飯を食べる時間もない有様。 今日にしたって、お腹を空かせて駆けつけたわけだ。
東京タワーは164個のライトに照らされて美しく立っている。 夜になると余計、明るく輝いている。 前にカレンダーで見た東京タワーを思い出した。 今、自分はその足元にいるんだと思うと、思わず感動を覚えた。
私は急いでタワーの中に入ったが、どこがどうだか皆目分からない。 一階は入り口で、中はレストラン、みやげ物店、喫茶店、水族館などがあった。 いろんなものが一杯あって目が回る。 どれも金がかかる。 それに時間も限られていることだし、これらは省略して、先ず展望台へ向かう。
ちょっとおかしなことを思い出した。 東京タワーは333メートル。 パリのエッフェル塔を見下ろして、世界一高い塔だと威張っている。 日本人は意地っ張りなところがある。 東京タワーを建てるときはパリのエッフェル塔を意識したんだろう。 あちらは320メートル、たかだか13メートル高いだけだ。 とにかくフランス人の鼻をへし折ってしまった。
東京タワーには展望台が二つある。 料金はそれぞれ取られる。 先ず最初は第一展望台。 そこは150メートルで、だいたい35階建ての高さだ。 私は高い所が苦手だ。 高校のときにすべて頂点に達してしまったのだ。 山登り沢下り、暗闇の冒険、何でも読み漁ることなど。 それが学校を卒業してしまったら、すべてが縮んでしまったみたいで、特に高所恐怖症になってしまい、四階くらいの高さでも頭がクラクラしてしまう。 わずか150メートルの展望台でも、手足が硬直してしまう。
エレベーターが上に上がるとき、ガラス越しにエレベーターの上がる様子が見える。 地上から遠ざかるとともにエレベーター内に驚嘆の声が聞こえてくる。 みんなの興奮している様子が分かる。 私はガラスや壁面から離れ、人の間に挟まれて、ただ何事もなく落ちませんようにと祈っていた。 エレベーターを降り展望台に入った。 風が吹いていて塔が揺れているように感じた。 でも誰も揺れなど感じる人などおらず、みな夢中になって東京の街を展望していた。 私も大きく広がるパノラマに感動させられた。 真っ暗な中に点々と光る明かりは、どれも光り輝くダイヤモンドのようで、東京に来てだいぶ経つが、これが東京なんだと始めて実感した。
どのガラス窓の上にも、そこから見える方向の説明文が附いており、その場所の位置などもはっきり分かるようになっていた。 展望台からの東京の眺めは、とてもきれいだった!
全東京の景色を見渡すことができるようだった。 東京湾の漁り火も点々と見えたし、隅田川のネオンに彩られた橋影、高速道路の自動車の長蛇の列、とても美しいので今宵は何か特別の夜のように思えた。 そこを何周も回って見た。 どの方角も繰り返し目に焼き付けるように見た。 そのあと第二展望台行きの列に並び、上に上がった。 第二展望台は地上から250メートルだ。 高いので、視野も更に広がり、見えるものすべてが小さく見える。 揺れもやはり大きく感じる。 この展望台の大きさは、先程の第一展望台よりだいぶ狭い。 塔の尖端に近いのだ。 だから上から見下ろすと、空中にぶら下がっているようで、グラグラして今にも落ちそうな感じで、私は窓から下を眺めただけで、頭がクラクラ心臓がドキドキしてしまい、もう外を見ることなく早々にその場を退散した。
タワーの中は、展望台以外にも面白い所がある。 3階には蝋人形館があり、4階には美術画廊などがある。 1階1階下へ降りながら周りの様子を見ているうちに東京タワーの出口にでた。 帰る間際、もう一度塔を眺めていると、道端からいい匂いが漂ってきた。 焼きソバ、お好み焼きなどがあり、おいしそうでたまらなかった。 お腹を空かせたまま東京タワーに来たので、店先に飾ってある食品のサンプルがなんとも目の毒だ。 見ているとお腹が空き、クラクラしてくる。 東京の食事代は高い。 今後まだ長いこと頑張らなければいけないので、ここはガマンしよう。
Recent Comments