291 中国の三面記事を読む(43) “変臉”芸術について
「変臉」という技をご存知だろうか? 四川省の川劇で見られる技で、京劇の隈取りのような面を瞬時に次々と取替え、七変化、十変化と早変わりする技。 まったく一瞬の変化は何度見ても不思議。 その仕掛けは秘中の秘の筈だが-------。
NHK「大地の子」で主人公の養父を演じたことで知られる 朱旭 が1996年「変臉」(呉天明監督)という映画に出演したので、この「変臉」の技をご存知の方もいらっしゃると思います。
この「変臉」についての記事がありましたのでご紹介します。
中国演劇界唯一の国家機密 川劇“変臉”の秘技 外国へ流出
2006-06-04 06:56:00 中国戏剧界唯一国家机密川剧”变脸”遭遇外泄 来源:人民网
2006-06-05 13:22:01 国家二级机密遭外泄”变脸”绝技被私传国外 来源:新闻晚报
川劇(四川省を中心とする地方劇)の第一人者である王道正が日本、韓国、シンガポール、ドイツなどの国を訪れ公演を行った際、それぞれの国の芸人達が“変臉”を実演しているのを見たという。 “変臉 王”の王道正は、“変臉”保護が一刻の猶予も許されないと訴えた。 変臉は、国家の二級機密に指定され勝手に伝授することは出来ない。 しかし劇員の中には、金に目がくらんだ者がいて、こっそり外部の人に変臉の秘技を漏らしてしまい、国内各地で変臉の実演をする者が溢れてしまった。
ナイトクラブ、バー、サウナなどいたる所で川劇の“変臉”が行われている。 一番残念なのは、変臉 の秘技が日本、韓国、ドイツ、シンガポールなど国外へ流出していることだ。 そのため王道正は、“変臉”を一刻も早く保護するよう呼びかけた。
外国芸人の“変臉”演技
今年68歳の王道正は、川劇の“変臉”海外流出を語った時、とても悔しそうだった。 “変臉”という芸術は代々の川劇芸人が心血を注いで作り上げたもので、他人には真似が出来ない技なのだ。 1987 年、川劇の“変臉”は、国家二級機密扱いの芸術に指定された。
しかし何でも金の世の中の風潮により、川劇の芸人の中には、金目当てに、国を忘れ民族の利益も省みず、密かに外国の芸人に漏らしてしまうものがいる。 外 国の芸人はわずかの金で、素早く“変臉”の技術を修得してしまう。 本当に残念でなりません!
1987年の夏、私は四川省川劇院に随行して日本に行きました。 その時日本人から、5万米ドル即金で出すから“変臉”の秘密を売ってくれと言われました。 私はその場で断りました。 2000年、劉徳 華(香港の俳優)が変臉を学ぶため弟子入りしたいというニュースが流れ、変臉はまた脚光を浴びました。
それから間もなく、また日本の芸人が大金を持って私に“変臉”の技術を教えて欲しいとやって来ました。 私はまた拒絶しました。 ところがそれから二年ほど経って、日本を訪れた時、驚くべきことを見てしまったのです。 日本の芸人がもう“変臉”の技術を修得していて公然と“変臉”の実演をしていました。 現地の友人が私に話してくれたところによると、中国の川劇の劇員が日本の芸人にわずかの金で、“変臉”の秘密を教えてしまったようです。 私はその時、その話を聞いて愕然としました。
その後、王道正は韓国、ドイツ、シンガポールへ行き公演を行いました。 その時も、各国の芸人達が娯楽施設の舞台の上で、“変臉”を実演して見せていました。 服装などの演出は雑なものでした。 王道正は首を振りながら、“まったく見られたものじゃない。 なんで漏れてしまったんだ”
そこらじゅうで行なわれている実演は “変臉”をダメにする
王道正は、「今、“変臉”は多くの専業、アマチュア達の金儲けの手段になってしまっている。 この数年、“変臉”を学び演ずる人が増えてきた。 誰もが色々な看板を出して“変臉”をやっている。 ナイトクラブ、バー、サウナでも“変臉”を行う人がいる。 “変臉”は川劇という豊富で多彩な地方劇の中の一つなのに、みんなは“変臉”を川劇芸術のすべてだと誤解してしまっている。 川劇“変臉”があちこちに氾濫して大きな災いになってしまった。 更に嘆かわしいことは、ネット上に“8-900元(約1万2千―1万3千円)”ですぐ教えます。 という情報を流す人がいることだ。 また国内で外国の学生に“変臉”を教えると募集する者までいる。 こういった利益に目がくらんだ人達は、代々川劇の先人が心血を注いで作り上げた“変臉”芸術をメチャメチャにし、演劇界の物笑いの種になっている。」と語った。
最後に王道正はこう述べた。 「私は今年もう68歳だ。 私は民族の芸術がこのように踏みにじられ、秘密が流出しているのが残念でならない。 川劇“変臉”芸術の保護を可及的速やかにお願いしたい!」
“変臉”は 外国へ渡してはいけない
王道正の呼びかけに対し、記者が四川省文化庁文化芸術処林戈尔処長に電話で取材したところ、「川劇“変臉”芸術の海外流出のニュースは初めて聞きました。 この件は、早速正規のルートで真相を調査し、もし実際に国内の劇員が密かに外国人に漏らしたとすれば、国の知的所有権保護法を適用し、厳正に処理し相応の法的責任をとらせます。 “変臉”芸術は国家二級の機密事項に指定されており、今もまだ適用されています。 たとえば数年 前、劉徳華が彭登懐に川劇芸術を学びたいということについて、私たちは歓迎しました。 しかし彼が“変臉”を習いたいと言ったときには、私達は彭登懐に外部の人には教えないよう求めました。 この方針は今も変わりません。
“変臉”については、60年代に周恩来総理が川劇を観劇された後、「“変臉”は国家機密だ、軽々に漏らしてはならない」と何度も述べられた。
1987年、文化部は川劇“変臉”を国家二級の機密に指定した。
「中華人民共和国保守国家秘密法」の規定に基づき、故意もしくは過失で秘密を漏らした時、その犯罪行為が重大である場合は、刑事責任を追及するとされている。
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