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120 中国は見る(37)  私が出会った日本人② 葉子さんとのほろ苦い思い出

2005-12-12 19:40:43 一个日本女孩---叶子

本文网址:http://bbs6.news.163.com/board/rep.jsp?b=zhongri&i=331185

私が働いていた魚屋さんに可愛い女の子がいた。 見たところ私よりだいぶ下だと思う。 賢そうな顔をしており、いつも店の人の後ろに隠れ、ニコニコしながら珍しそうに私を見ていた。 後で、その子がお店の旦那さんの娘だと知った。 名前は葉子。

彼女が近寄ると、すがすがしい匂いがした。

私の店での仕事は配達である。 活きた魚を寿司屋やレストランへ届けるのだ。 ある雨の降った日、私が配達からびっしょりになって戻って、更衣室へ行こうとした時、葉子がタオルを持って私に手渡そうとモジモジしていた。 私は受取らなかった。 さっと更衣室に駆け込んだ。 ドアに入る瞬間、彼女のがっかりした表情を見てしまった。

それから、私は彼女が行く先々に出没する姿に気付いた。 “偶然の出会い”のようにしていた。 私が配達する寿司屋でも見かけたが、彼女からは声をかけてこなかったので、ホッとした。

私も堅物ではないし、女性のことを考えないではない。 きれいな日本の女の子を追っかける感じって、いいだろうなと思う。 でも私にはまったくそんな気はなかった。 私は自分の今の立場をわかったいた。 暮らしのメドが立たない学生だし、時間も気力もない。 ましてや女の子を追っかけるお金もない。 学費と生活費のため、毎日働いてクタクタだ、話をするのもおっくうだ。 そんな気持を持てるわけがない!

夜になって、自分のふやけた両手を見、自分の住んでる狭い部屋から京都の美しい夜景を見るたび、たまらなく悲しくなることがある。 しかしだからこそ、そういう時“頑張ろう”“気持をしっかりしよう”という気になる。 

その頃、アルバイトを通じて日本の会社事情を知ることが出来た。 相手を知るには、まず相手をたたいてみる。 そして冷静に相手の反応を確かめる。 もし立ち向かってくるようなら大した奴、へこむようなら能無しとされた。

お昼、みんなで食事する時、私も自分から葉子に話をするようになった。

これも礼儀のうち。 時々、私の日本語がおかしいため、みんなの笑いを誘うことがある。 でもその後みんな親切にこう言うのよと教えてくれる。 だんだんと私の日本語も上達し、葉子とも打ちとけて話ができるようになった。 

私は、彼女が“純粋で、言葉に幼さは残ってるもののやさしい声で、謙虚で、賢明な伝統的日本女性”であることがわかった。 日本の大学でよく見る“新しい流行を追っかけ”“いかれて”“けばけばしい”だけの現代風の女の子とまったく違っていた。 後で聞いたことだが、葉子は小さい時、田舎のおばあさんの家で暮らしていたそうだ。 だから、日本の悪い空気に汚されていない。 配達が遅くなった時、いつも葉子がご飯を持ってきてくれた。 おばさん、おじさん達がよく冷やかして、“よう、中国のお兄ちゃん、沢山食べなよ!”

葉子が私に、“ずっと中国語を勉強してるの”と話したことがある。 私は、好奇心をもって、“なぜ?”と訊いた。 “なぜってこともないわ、以前から興味があったの。 でも、機会がなかったの”“今は、機会があるの?”

彼女は、口をすぼめて笑った。 笑うと大人の女性のようだった。

それから暫くして、思いもかけぬことが起こった。

それは日曜日だった。 丁度、日本のお盆の時で、店はてんてこ舞の忙しさ、葉子も発送の手伝いをしていた。 夏とはいえ、冷たい水の中に長時間手を入れてるとやはり冷えてしまう。 葉子の手も真っ赤だった。

手袋を使ってもいいのだが、使っていなかった。

箱詰めが終わって伝票を取りに部屋へ戻ったら、葉子もついて来た。 私が振り返ったとき、突然、私の両方のポケットに手を入れてきた。 暖めようと思ったのだろう。 でもそれは、私に抱きついているようにも見える。 まったく思いがけない行動だったが、そうに違いない。 私達は何も話さず、ずっと立ち尽くしていた。

きれいな目で見つめられ、おでこが私の口につきそうになり、髪の毛が私の首のあたりをムズムズさせていたが、動こうにも動けなかった。

私は緊張のあまり、自分の心臓が高鳴るのが聞こえた。 その時、私は 

真っ赤になっていたと思う。 身体中熱くなり、ばつの悪い状態にあり、どうしたらいいのかわからなかった。

外から、旦那さんが私を呼んでいる声が聞こえてきた。 

私は、ためらいながらも彼女の手を振り払い、部屋をとび出した。 その瞬間、“胸のつかえ”がおりたように感じた。 ホッとした。 彼女が後ろでプッと吹きだしているのが聞こえた。 それ以降、店で視線が合うと笑顔を見せるようになった。 ちょっと謎めいた笑いだった。

私は表現できない訳ではない。 ただ、日本語でうまく言えないだけだ。

私は彼女が心の中でどう思っているかわかる。 錯覚させてはいけないと思った。 私が、日本へ来てから半年経っているが、何もメドは立っていない。 面倒なことは避けねばならない。 大事なことは、彼女を傷つけてはいけないということだ。 しかし、自分だけ知っていることがある。 心が落ち込んだ時、葉子は私の友達になってくれた。 この見知らぬ世界で、葉子とのふれあいは私の唯一の慰めとなった。 物静かで、気立てのいい日本の女の子が、“黙って見つめる目、訴えかけるような目、思いやりのある目”で、私の寂漠としたアルバイトの日々を見てくれていた。

自費留学生にとって何が苦しいか? 何が一番つらいか? と訊かれたら、それは“他人の世話になること”だろう。 そういう生活は“圧迫感”となる。 高い学費、生活費のため無理していると、この圧迫感は二十四時間つきまとう。 ある学生は、来日数年経っても、この心理的圧迫から逃れられなかったと言う。 日本にいる限り、圧迫から逃げられない。

学校が始まるので、私はここを去ることになった。

京都を離れるその日、私は葉子に会えなかった。 どこに行ったのかわからなかった。 とてもがっかりした。 何か失くしたような気分だった。 私は心の中で叫んだ。 “さようなら、京都! さようなら、葉子!” だが、これもよかったかもしれない。 別れる時、彼女に何と言ったらいいのかわからないのだから。 

別府へ戻る船の上で、私はカバンの中に一通の手紙と飲み物、それに濃い藍色の日本風の“入口にかけるカーテン”(ハスの花が刺繍されていた)が入っているのを見つけた。 手紙の中には葉子の写真が一枚はさんであった。 魚屋の店先に立ったもので、ちょっと寂しげに写っていた。 最近撮ったもののようだった。

手紙は中国語で書かれていた。 一筆一画、きちんとした字でしたためられていた。

内容は次の通り;

きれいな中国のお兄さん。 今日は。

私達は、あなたにアルバイトしてもらい助かりました。 とても感謝しています。 父母もあなたのことが気に入っており、感謝しています。

私からお礼の品と写真をお送りします。 ジュースは京都特産です、どうぞ飲んでください。 あの日本のカーテンは、母のお手製です。 どうぞ使ってください。 あなたは日本にまだいますけど、もういいです。

あなたの上手な日本語、私は面白かった。

どうか機会があったら、京都へ来て下さい。

あなたと知り合えて、本当にうれしかったです。

好きです。 葉子

私は涙がこぼれそうになった。 ありがとう。 偶然出会った日本の女の子。 そうだ、私はもっとあったであろう心の会話を聞き漏らしていたにちがいない。 このことで私はずっと申し訳ない気持で一杯だった。 ご免なさい、葉子。 私は手紙を書かなかった。 あなたの繊細な心をぶち壊したくないと思ったからです。 葉子の惜しみない好意によって、どれだけ私の味気ないアルバイト生活が輝いたことか。 

私は、この世の愛情は曖昧模糊として掴みどころのないものと思う。 人は、暗闇の中にきらめく宇宙の星を探すように、希望と幻想を追い求める。 だが実際は、しばしば涙しか得られないということがよくある。

愛情というものは、私にとっては贅沢であり、また人を傷つけるものだ。

ただ生活だけ、言葉を換えて言えば、生きていく事が大事なのです。

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