26 中国通俗小説の巨匠・張恨水 (その3)ー代表作品紹介(上)
張恨水はどういう作家か? 張恨水の一生は、発表の時期に基づき、おおよそ四つの時期に分けられる。
第一期 1924年「春明外史」を創作するまでの時期は、創作準備段階。 民国初年(大正元年)頃は、社会はまだ封建時代のままで、知識分子が科挙の試験からやっと解放されてまだ間もない時期、小説の創作に取り組むことなど、まだ難しかった。
当時の新聞小説は、物語の筋により、社会小説、言情(恋愛)小説、政治小説、愛国小説、倫理小説、武侠小説、探偵小説等に分類されていた。 全体として見たとき、言情(恋愛)小説の読者が一番多く、編集者にも歓迎され、作者も多かった。
言情(恋愛)小説も細かく分類され、愛情小説、哀情小説、奇情小説、侠情小説等がある。
張恨水の初期の作品は、間違いなく言情(恋愛)小説に属するものだ。
[作品名]
1.旧新娘 2.梅花劫 3.青衫泪
4.未婚妻 5.紫玉成烟 6.未婚夫
7.南国相思譜 8.真假宝玉 9.小説迷魂游地府記
第二期 1924年から1931年(満州事変)9月18日まで、
第一線の章回小説家(長編小説作家)として名を成した段階。
執筆の正に”黄金時代”。
彼は、社会の下層の人々の悲惨な状況を、克明に、誰にもわかるような言葉で、次から次へと人を夢中にさせる文章を書いた。 人によっては、彼の小説は、確かに問題を暴いてはいるが、なんら問題の解決にはならない。 結末は、うやむやのままで物足りない。 このような批評には、もっともな点があり、彼の欠点と不満を指摘したものだ。 しかし、20年代から30年代は“五四”運動の初期に当り、新思潮が芽生え始めの頃で、大革命の前夜でもある。 一作家として、労働者・大衆の側に立ち、そして呼びかけ、読者の共感を得たことについて、その進歩的意義を肯定すべきであると共に、彼の作品が多少なりと革命に貢献したと認めるべきである。
〔作品名〕
1.皖江潮 2.春明外史 3.新斬鬼傳
4.金粉世家 5.第二皇后 6.京尘幻影録
7.天上人間 8.啼笑因縁 9.太平花
10. 満城風雨 11 落霞弧鶩 12 満江紅
13. 剣胆琴心 14. 鶏犬神仙 15. 銀漢双星
16. 春明外史 17.似水流年
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