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21 中国通俗小説の巨匠・張恨水 (その2)ー人物紹介

張恨水って誰?  どんな人?

張恨水の名前は、本名ではない。 筆名である。 本名は、張心遠であるが、本名はすっかり忘れられ、張恨水の名前が正式の名前になってしまった。

南唐の最後の君主・李煜(937~978)の詞を愛読し、その中の一首《烏夜啼》の中から「恨水」の二字を取り名前とした。 意味は、今という“時を愛し、時間を水の流れのように無駄にするなということ。

張恨水(1895~1967)は、日本では知る人も少ない中国の章回小説(長編小説)の大家です。 活躍したのは、1920年代(大正末)から30年代(昭和10年代)。 彼は、生涯新聞の仕事に携わり、小説はもともとは副業だった。 著作の方に力を入れすぎ、新聞経営は思わしくなく、彼の書いた小説が読者に評判をとったため、自然と小説のプロとなっていった。

20年代、北京の大新聞の連載小説をを独占し、30年代には中国南北の新聞界最大の発行量を誇る《申報》《新聞報》が彼の独壇場だった。 

その頃、同時に7本の連載小説を書くという芸当もやってのけた。 これは、当時としては最高記録であり、連載小説の世界で一流作家とされていた。 連載が終わるとすぐ単行本が出版され、それもいずれもが相当の売れ行きだった。 彼の作品は、映画、演劇、評劇、曲芸などに改編され何度も上演され、今に至るもテレビに登場するほどである。

彼の読者は、幅広い層に及んでいた。 作品の描写が的確で、生き生きしており、文章は平易であった。 内容は主に、反封建、反軍閥、抗戦を主張、そして、すべての社会の不正に反対し、恋愛と結婚の自由を主張していた。 

その当時、老舎が「中国国内で女子供、誰もが知っている唯一の作家」と言わしめている。 小説家が生前このような成功を得、しかも、大きな影響を与えた人は稀有と言える。 一般的には、通俗小説作家の芸術生命は短いものだ。 たとえ一時、もてはやされても、往々、死後は見向きもされないものだ。 しかし、この数少ない作家の中に、張恨水は含まれている。 死後38年にもなろうとしているが、彼の小説は今でも出版されており、生誕百年の年には記念として張恨水全集全62巻も出版された。

【参考】     『烏夜啼』   李煜作

林花謝了春紅       林の花は散りつくす  春の紅

太怱怱            あまりに怱々たり

無奈朝來寒雨晩來風   如何せん 朝來の寒雨 晩來の風

胭脂涙            胭脂の涙 

留人酔            人を留めて酔わせし

幾時重            いく時かふたたび

自是人生長恨水長東    おのずから是れ 人生はとこしえに恨みのみ

                 水はとこしえに 東す 

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