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23 八方ふさがり (その8)

今日、岩波ホールで「ベアテの贈りもの」という映画を見てきた。 先日、ある人がいい映画ですよと、紹介してくれたのです。 映画はしょっちゅう見るのですが、この映画はまったく知らなかった。 どんな内容かまったくわからないまま、一般の劇映画だろうと見に行った。 しかし、見事に裏切られた。 ドキュメンタリーだった。 

冒頭、主人公の外国人女性が岩手県の野村胡堂・あらえびす記念館で父親のレコードを聞くところから始まる、意外な展開に引き付けられた。 父親のピアニストとしての活躍の回想、そして母親と結婚、そして娘ベアテの誕生。 山田耕作と知り合い、日本を訪れ上野の音楽学校の教授になり、家族も日本で暮らすことになる。 

日米開戦の2年前に娘のベアテはアメリカの大学に入学する。 その後、日米開戦となり、親子は日本とアメリカに別れ別れになる。 戦後、ベアテは軍属の仕事を探して、日本に戻ってくる。 そして、両親と再会を果たす。 それから、ベアテはなんと、日本国憲法草案作成のスタッフに起用される。 スタッフの中で唯一の女性だった彼女は、人権と男女平等の部分を担当した。 その結果出来たのが、現行の憲法14条と24条だ。 すなわち、

第14条 すべて国民は、法の下に平等であって、人権、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

第24条 婚姻は、両性の合意のみに基ずいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の距力により、維持されなければならない。

この「ベアテの贈りもの」とは、ベアテが日本女性に贈ってくれた条文だということで、映画は後半その条文成立により、日本女性の人権や地位向上が、どのような歩みをたどったかを追っている。 

憲法の成立の中で、このような秘話があったことなど知る由もない私にとっては、この映画は思わぬ発見だった。 日本の憲法が占領軍に押し付けられた憲法だからということで、改憲の動きが急ですが、必ずしもそうではないのではないかと思った。 このベアテが、講演の最後でこう述べている。

「日本国憲法の本当の作者は歴史の叡智だと思う。 私の立場から見れば、この第9条は、世界の平和のために非常に重要であると思います。 他の国々がそれぞれモデルと認めて真似すればよいと思います。 今の世界の状況を見れば平和など全然ないみたいです。 小さい戦争がいっぱいあるのでだんだん人種と信条のための戦いが激しくなっています。 他の国々も日本みたいに戦争を放棄すれば将来皆様が平和的に生活することが出来ると思います。」

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22 ぶらぶら歩きの楽しみ (その3)

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先週、日光や、堀切菖蒲園、豊島園などをぶらついて来た。

日光へは、元会社の友人3人と車で出かけた。 日曜の明け方4時頃、戦場ヶ原に着き、電気バスに乗り換えて小田代が原に行った。 そこは、写真をやる人なら大抵知っている白樺「貴婦人」が立っている場所。 その日も早朝にもかかわらず、30人位のカメラマンが湿原の手前の木道」に三脚を立て、望遠をつけたカメラの放列だ。 朝日が出て、霧が晴れる一瞬を狙っているのだ。 でもその日は、あいにくだった。 太陽がでても霧は思ったように晴れない。 早々とカメラを片付けている人もいた。  次に、竜頭の滝に行った。 相変わらず水量が多く圧巻だ。 丁度、ピンクのツツジが咲いていて、美しく色取りを添えている。 今は新緑が目にあざやかで、緑にピンクに、紅葉の頃とはまた違った美しさがある。 滝ついでに、いろは坂を下って東照宮の近くの裏見の滝にも寄ってみた。新緑の山道を登っていくと、華厳や竜頭のような華麗さはないが、小振りながらも見るものを楽しませる滝だ。 今は滝の裏側を見られないのが残念だ。 

霧降高原にも行ってきた。 ニッコウキスゲが見られるというので行ってみたが、まだ早すぎた。 月末頃咲くとのこと。  リフトで山の上に行き、帰りは山道を歩いて降りた。 ここでは、白、赤、ピンクの三種類のツツジが咲き誇っていた。

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新聞によく季節の花の紹介がでる。 写真と解説記事がセットで、どこどこで今が見ごろだとかの案内だ。 以前は、見過ごしていたのだが、最近、じゃあ,見に行ってみるかという気になってきた。 なんたる心境の変化。 東に菖蒲が咲いてると聞くと、行ってみようと思い、西にアジサイが見られるというと、行きたいなと思う。 菖蒲は堀切菖蒲園がいいと出てたので、先週水曜日に出かけた。 京成の堀切菖蒲園駅で降り、人の流れについて10分位歩くと、目指す菖蒲園に着いた。 入場無料。 江戸時代に品種改良されたという花菖蒲、紫や赤、白など色々な種類が咲き揃い、日本情緒が感じられる。 駅で路線図を見ていたら、柴又がすぐ近くだったので、来たついでと行ってみることにした。 駅前に寅さんの像が立っていた。

帝釈天へ至る通り、帝釈天は相変わらずにぎやかだった。 江戸川の土手は変わりなかったが、土手下には柵ができたりしてちょっと情緒がなくなった感じがした。

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豊島園で「アジサイ祭り」をやっているとのことで、行ってみた。 大江戸線で行けるようになったので便利だ。 ちょっと雨模様だが、アジサイには丁度いい。 アジサイというのは、紫、赤、白ぐらいしかないものと思っていたが、これがアジサイかというような小さい花のアジサイも結構多くあり驚いた。

140種類,8500本もあり確かに見ごたえがあった。

中央_006 貴婦人と呼ばれる白樺。カメラマ ンの樹とも。中央は貴婦人と呼ばれる白樺。カメラマンの樹とも。

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21 中国通俗小説の巨匠・張恨水 (その2)ー人物紹介

張恨水って誰?  どんな人?

張恨水の名前は、本名ではない。 筆名である。 本名は、張心遠であるが、本名はすっかり忘れられ、張恨水の名前が正式の名前になってしまった。

南唐の最後の君主・李煜(937~978)の詞を愛読し、その中の一首《烏夜啼》の中から「恨水」の二字を取り名前とした。 意味は、今という“時を愛し、時間を水の流れのように無駄にするなということ。

張恨水(1895~1967)は、日本では知る人も少ない中国の章回小説(長編小説)の大家です。 活躍したのは、1920年代(大正末)から30年代(昭和10年代)。 彼は、生涯新聞の仕事に携わり、小説はもともとは副業だった。 著作の方に力を入れすぎ、新聞経営は思わしくなく、彼の書いた小説が読者に評判をとったため、自然と小説のプロとなっていった。

20年代、北京の大新聞の連載小説をを独占し、30年代には中国南北の新聞界最大の発行量を誇る《申報》《新聞報》が彼の独壇場だった。 

その頃、同時に7本の連載小説を書くという芸当もやってのけた。 これは、当時としては最高記録であり、連載小説の世界で一流作家とされていた。 連載が終わるとすぐ単行本が出版され、それもいずれもが相当の売れ行きだった。 彼の作品は、映画、演劇、評劇、曲芸などに改編され何度も上演され、今に至るもテレビに登場するほどである。

彼の読者は、幅広い層に及んでいた。 作品の描写が的確で、生き生きしており、文章は平易であった。 内容は主に、反封建、反軍閥、抗戦を主張、そして、すべての社会の不正に反対し、恋愛と結婚の自由を主張していた。 

その当時、老舎が「中国国内で女子供、誰もが知っている唯一の作家」と言わしめている。 小説家が生前このような成功を得、しかも、大きな影響を与えた人は稀有と言える。 一般的には、通俗小説作家の芸術生命は短いものだ。 たとえ一時、もてはやされても、往々、死後は見向きもされないものだ。 しかし、この数少ない作家の中に、張恨水は含まれている。 死後38年にもなろうとしているが、彼の小説は今でも出版されており、生誕百年の年には記念として張恨水全集全62巻も出版された。

【参考】     『烏夜啼』   李煜作

林花謝了春紅       林の花は散りつくす  春の紅

太怱怱            あまりに怱々たり

無奈朝來寒雨晩來風   如何せん 朝來の寒雨 晩來の風

胭脂涙            胭脂の涙 

留人酔            人を留めて酔わせし

幾時重            いく時かふたたび

自是人生長恨水長東    おのずから是れ 人生はとこしえに恨みのみ

                 水はとこしえに 東す 

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20 中国通俗小説の巨匠・張恨水 (その1)-最新テレビドラマ紹介

現在、中国で沢山の人に読まれている作家というと「金庸」だという。 武侠小説で中国の人々の圧倒的人気を博している。

ところで戦前、中国で沢山の人に読まれた作家はというと、「張恨水」という作家があげられる。 日本ではまったく知られていない。 通俗小説というので、現在の中国でもあまり評価されていなかった。 2年前に中国に行ったとき、その作家の代表作がテレビドラマ化され評判になっていた。 そして、その評判を受けて相次いでドラマ化されている。 その内容はというと、次のとおりである。

(1) 金粉世家 

20世紀初頭の北京、北洋軍閥内閣総理の子「金燕西」は貧しい出身の娘「冷清秋」と出会う。 そして富豪の美貌の令嬢「白秀珠」は燕西に対し積極的に愛を告白する。 しかし、燕西は冷清秋を一途に追い求める。 格式や偏見を乗り越え二人は結ばれるかどうか-----という内容で展開する物語。 珍しくない恋物語ですが、当時の上流社会の家庭の様子も豪華で、結構見ごたえがありました。 二人がひまわり畑でデートするところもとてもきれいでした。 主題歌「暗香」もなかなかいい曲でした。  

全40集(1集45分) 主演 董潔(冷清秋)、陳(金燕西) 2003年4月放映  主演女優は日本でも映画「至福の時」「最後の愛、最初の愛」で有名な女優。 このテレビではまた可憐な役を演じていた。 

(2)    啼笑因縁 

20年代北京が舞台。 杭州から勉学のため北京へ出てきた樊家樹は、偶然、天橋で歌っていた沈鳳喜と知り合う。家樹は鳳喜の身の上に同情し、次第に愛するようになる。一方、資産家の娘、何麗娜も家樹に近ずいてくる。 何麗娜の容貌は鳳喜と瓜二つ。 だが、家樹の気持ちは鳳喜に傾いている。 その後、家樹の母が病気で、杭州へ見舞いに帰る。 留守の間、鳳喜が舞台に出演し、不幸にも軍閥の劉徳柱将軍に見初められる。 劉将軍は鳳喜を手に入れるためには手段を択ばず、金を使ったり、いろいろな工作をしたため、ついには家樹の気持ちにそむき、劉将軍の第二夫人になる。 家樹が北京に戻った時には、すべて手遅れだった--------。 さて、その後の展開は?

全38集  主演  胡兵(樊家樹)、袁立(沈鳳喜

過去何度も映画にテレビに登場した作品ですが、原作をいじくりすぎた感じで、また主役の男優が長身(189cm)なわりに、あまり存在感が感じられなかった。

(3)       紅粉世家(原題:満江紅)

30年代南京が舞台。 「桃枝」は歌舞団の団員、若い画家「水村」と愛し合っている。 妹の「小桃」は京劇の歌い手で、写真館の「太湖」はひそかに彼女を思っている。

は新聞社の記者、大資産家「方潤沢」の取材で、秦淮河に来たついでに、自分の出生の秘密を探っている。 水村は、権力者「万有光」を怒らせてしまう。 桃枝は恋人を救うために、万有光に嫁ぐ約束をしてしまう。 水村は結婚式場へ乗り込み大騒ぎを起こす。 

は、作家の「秋山」を好きなのだが、秋山には別に思う人がおり、傷心の心の隙を、方潤沢につけいられてしまう。 そして結婚式で、蘇は方こそ自分の実の父親であることを知ってしまう。 蘇は、恥ずかしさと怒りのあまり、式場を飛び出し、走って来た車に身を投げ自殺する。

小桃は横恋慕の相手に恨まれ、顔を傷つけられる。 太湖は彼女を見つけだし、彼女と共に秦淮河に別れを告げる。 

水村は桃枝を探し、許しを請うが拒絶される。 しかし、桃枝は彼への愛を捨てきれず、水村が帰る船に飛び乗る。船が火災を起こし沈没しようとするとき、酒を飲んで眠っている水村を救助ボートに乗せ、自分は火に包まれた船と共に水中へ没する。--------.

全38集  主演  佟大(水村) 孫(桃枝)

この二人は、これ以前に「玉観音」というドラマでやはり結ばれない恋人同士で評判をとった。 影のある女の役でとてもよかったが、このドラマは原作をあまりにも改悪しすぎて、ドロドロしていて感情移入ができなかった。

以上、ドラマの内容をご紹介しましたが、私が紹介したいと思うのは、この作品の原作者である「張恨水」である。 この続きは、次回に書きたいと思います。

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