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12 八方ふさがり (その3)

ジャカルタで開幕したアジア・アフリカ会議50周年記念首脳会議の中、昨日(23日),小泉首相と胡錦濤国家主席が会談し、とりあえず両国の関係改善に向け、対話促進することで合意した。 しかし、すべて解決したわけではなく、歴史認識など懸案は引き続き残ったままだ。 
小泉首相は、会談の前日演説した。  しかしそれは、10年前の村山首相談話の表現をそのまま踏襲したもので、「我が国は、かつて植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた」と述べているが、彼一流のパフォーマンスに思えてならない。  そこまで言うのなら、他人の言葉など引用せず、自分の言葉で述べ、しかるのち「今後、靖国参拝をいたしません」と宣言すれば、全世界にそのニュースが流れ、世界的評価を得られたのに、とがっかりでした。  50年前第一回アジア・アフリカ会議では、周恩来総理が「小異を残して大同を求める」精神で活躍し、世界の注目を集めました。  50年後、小泉首相はどういう評価を得るのでしょうか。
  靖国参拝については、今度の「反日運動」の原因の一つになっているのを承知しながら、まだ「適切に判断していくことに変わりない」といっている。 「不戦の誓いと戦没者の哀悼の念で参拝している。 それぞれの国に歴史も伝統も考え方の違いもある」とも述べている。  しかし、演説で述べた「アジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた」というのが本心であるなら、自分の靖国参拝が、それら人々に過去の苦痛を思い出させていることを、謙虚に受け止め、痛切な反省をしなければならない。  「A級戦犯14人が合祀されている」神社へ参拝することは、やはり侵略戦争を反省してないといわれてもしょうがない。 今まで靖国参拝を繰り返し、中国政府の反発を無視し、高を括ってきたが、今度の「反日デモ」は無視できようか?  自分の信条と国家間の大事とどちらを優先していくのだろう。
靖国神社から「A級戦犯」を分祀するのがむずかしいという。 ならば、「国立戦没者追悼施設」を検討しようという話があったが、その後ちっとも進展ない。 この際、大いに靖国神社問題について考える時期だとおもうのだが。

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11 八方ふさがり (その2)

このところ、中国での「反日運動」が激しい。 なぜ急に、こんなことになってしまったのだろう。 中国を愛する者として、とても残念な気持ちです。

中国との間には、今までにも「教科書問題」「歴史認識」「靖国神社参拝」「釣魚島」(尖閣諸島)、「沖の鳥島」、「東シナ海ガス田」等、問題山積でしたが、今度のように各地でデモが起こり「日本大使館」「日本総領事館」「日本の商店」などを襲撃するようなことはなかった。

今なぜ、こうも中国の人を憤激させたのだろうと思う。 そもそもは、3月21日にアナン国連事務総長が、安保理拡大となったら日本が常任理事国入りにふさわしいと口を滑らしたのが発端でしょう。 事務総長はその後この発言を否定しましたが、この一言が、燎原の火のごとく「中国」「韓国」に飛び火し、インターネットでの「日本の安保理入り反対署名運動」が盛り上がり、そこへ折悪しくというか「教科書検定問題」が重なり、3月末に長春、4月に入り成都、深圳と騒ぎが起こり、9日には北京で日本大使館襲撃、16日には上海で日本総領事館襲撃、その他各地でデモが頻発するまでに発展した。 

日本の国連常任理事国入りが、かくも反対されるのは、国連の中国語「聯合国」という言葉にもあるようだ。 「聯合国」は第二次大戦で、日本、ドイツ、イタリアなどのいわゆる枢軸国に対して、反ファシズムで連合して戦った国々で中国も入っている。 

枢軸国で敗戦国としての日本が常任理事国入りだなんて、とんでもないということだ。 経済大国になり、自衛隊を海外に派遣するまでになり、歴史を反省せず、中国、韓国などの再三の反対を押し切り靖国参拝を繰り返す。 そして、憲法を改定する動きが進んでいる。 将来、軍事大国になりかねない。  インターネットでの反対署名アピールを読むと、「第二次大戦侵略国として、日本は数限りない悪行を行ったにもかかわらず、日本政府と国会は未だ正式にその罪を認めていない。 被害者に謝罪も賠償もしていない。 その罪業を未だ反省しようとしない。 国際社会は、このような国を安全保障理事会の席に着くのを許さない」とある。

大戦後60年、日中国交回復後33年を迎えようというのに、依然として日本は、こんな風にしか見られていない。 日本には日本の言い分があるといっても、相手側に理解してもらえるような積極的な手立てをしてこなかった。 事件が起こったときのその場対処、そして問題先送り。 歴史認識、尖閣(釣魚)等なんら解決されていない。 

最たる問題は、靖国参拝と思う。 先日(4/18)の毎日新聞の世論調査で、小泉首相の靖国参拝不支持(45%)が支持(42%)を上回ったと出ていた。 それでも、小泉首相は、今回の反日デモと靖国参拝とは関連がないと述べている。 こんな認識では、中国との話し合いがうまくいくはずがない。 インドネシアのジャカルタで中国の胡錦濤国家主席とトップ会談するというが、靖国についてどうする考えだろう。  何かというと、「未来志向」をいうが、相手が嫌がることをしていては、話し合いも未来展望もない。 将来の日中関係を考え、心して対話してほしい。

「五四運動」なんて歴史上の用語が新聞紙上をにぎわしている。 なんとか早く、騒ぎが収束されるのを願うばかり。

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10 清明時節

清明時節雨紛紛      清明時節 雨紛紛
路上行人欲断魂      路上の行人 魂を断たんと欲す
借問酒家何処有      借問す 酒家は いずれの処にかある
牧童遥指杏花村      牧童 遥かに指さす 杏花村

昨日(4月5日)は「清明節」でした。 日本では、この詩(唐:杜牧)で有名ですが、「清明節」といっても、あまり実感がないのが現実です。 ただ、この詩にあるように、この頃には、日本でもよく降ります。 桜の開花宣言の後、降りましたね。 今年は、無常の雨にあわずに満開の桜を楽しめそうですが -------。

清明の頃には、中国では墓参りをする風習があったようです。 今の中国にもまだ残っています。 周恩来総理が亡くなった(1976年1月8日)年の4月5日に天安門広場で「周総理を偲ぶ集まり」が行われたこともあります。  

二年前、中国にいた頃、湖南の友達に誘われて、田舎の家に泊めてもらったことがあります。 丁度、「清明節」の直前で、お墓参りに同行させてもらいました。 私など自分の「身内の墓」一箇所だけお参りで、済むのですが、その友人のお墓は、山の中腹にあって、父親の墓、母親の墓、祖父の墓、祖母の墓、こちらは誰々の墓、あちらは誰々の墓、といくつもいくつも、10数箇所もお墓をお参りしました。 墓石は日本のように大きくなく、小さい石碑のようなものでした。 お参りのやり方は、白い紙銭と短冊、ロウソク、線香を地面に刺し、礼拝は地面に跪いたり、立って礼をしていました。 そして、3メートル位の長さの爆竹に火をつけて鳴らすので騒々しいです。 また、紙銭を燃やします。 これを10数箇所全部やるのです。 また、この墓参りは一般的に男性がやるとのことで、女性は行きませんでした。 ただ、こういう風習を上海の人に話したら、これは農村の悪い習慣だとのこと。 でも、地方では、まあ、これに似た習慣がまだ残っているのだろうと思います。

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9 八方ふさがり (その1)

日本の国連安全保障理事会常任理事国入りに反対する集会が2日に中国四川省成都市、3日には広東省深圳市で行われ、反日集会参加者の一部が、成都では2日イトーヨーカドー一号店を襲撃、翌3日には数千人が同店周辺に群がり、警備側と対峙。 深圳では3日、約二千人が集会後、デモ行進、警備側ともみ合い、一部は日系企業の看板を壊したりしたという。

これより先、先月31日付の中国紙は、アサヒビールが日本の「新しい歴史教科書をつくる会」に資金援助を行っているとの中国メディアの報道をきっかけに、吉林省長春市のスーパーや商店で同社製品の販売を取りやめる動きが広がっていると報じた。 アサヒビールは、資金援助についての報道内容を否定する声明を発表している。

また、韓国では「竹島」(独島)を自国領と主張し、日本の島根県議会が3月16日、条例で「竹島の日」を定めたことに抗議し、日本を非難する動きが広がっている。 31日には、韓国政府は日本の国連安全保障理事会常任理事国入りに反対する考えを表明した。

こういう反日運動の高まりが、拡大しないよう願いたい。  ただ、今年は第二次大戦終了後60年目の年である。 日本にとっては敗戦・終戦から60年。 アジア、特に中国、韓国にとっては日本からの独立・解放60周年で、それぞれの国で記念式典が行われる予定である。 そういう歴史的な経緯のある年に、新たな問題が噴出してきた訳である。 しかも、これら問題は、以前からの懸案の歴史認識、靖国神社、沖の鳥島、魚釣島、東シナ海海域問題、教科書問題などがからんでいる。 日本は、これら問題を60年たっても解決できず、問題を先送りしたツケを清算しなければいけないが、容易ではない。

中国、韓国以外にも、北朝鮮とは拉致問題、ロシアとは北方四島、仲良しのアメリカとも牛肉問題と、八方ふさがりの状態です。   ああ、なんとかならないでしょうかーー。

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8 エープリルフール(愚人節)

年年歳歳花相似  年年歳歳 花相似たり
歳歳年年人不同  歳歳年年 人同じからず

3月、4月の春先になると、よくこの詩(唐:劉希夷)を思い浮かべる。  
梅や菜の花、桜など、花は毎年、同じように咲くが、それを見る人は同じでない。

日本では、3月は学校の終業(卒業)式があったり、会社では異動やら定年やらで、送別会を催すことが多い。 
そして、4月になると入学式、入社式と新年度がスタートする。 正に若草が萌えいずる春にふさわしい。 
何かやるぞという気にさせてくれる季節だ。 
昨日(3月31日)、東京は桜の開花宣言が発表された。 
入学式が行われる来週には、花も咲き揃い入学式に彩りを添えることになる。

外国では、一般的に9月に入学式がとり行われると聞く。 何でも外国式を取り入れる風潮が強いが、日本の気候風土を考えたら、真夏の卒業式、入学式など、とても耐えられない。 第一、暑くて物事に集中できない。 
何にもやる気にならない。  ましてや、桜がないなんて考えられない。
やるって? バカも休み休み言えってんだ。

今日は、エープリルフール(愚人節)。 こんなこと「絶対ありえねー」って思いつつ、書いてみました。

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